管理会社が管理を断る時代
最近、管理会社が極端な委託費の値上げを申し入れ、それを理由に、管理組合に更新拒否を誘導するといったケースが増えています。これには、管理組合とマンション管理会社の関係性の変化が大きく影響しているようです。
‘80~90年代、林立するマンションの、いわばストックビジネスとして生まれた管理会社の中には、管理組合とのコミュニケーションは二の次に、利益ばかりを追求するものが少なくありませんでした。高止まりした委託費に見合う仕事をしていないと、管理組合の不満が高まり、バブル崩壊と時を同じくして、管理会社のリプレイスの動きが激化。管理会社は価格競争に走り、深刻な人材不足も手伝って、業界全体の事業収益は悪化の一途をたどっています。
しかし、だからといって、これまでお付き合いしてきた管理組合との契約を、管理会社のほうから勝手に断るのは本末転倒です。そもそも、マンションの価値を維持・創造し、住む人の安全安心な暮らしを確保するために、堅固なパートナーシップを結ぶことが、管理会社の最大の使命というのに。問題解決後の、住民の皆様の笑顔を見るたび、どの管理組合の方にも、また、クレーム対応に疲れ切った管理会社のスタッフにも、この喜びを味わってほしいと願う今日このごろです。
(『SNJ’EYES』は不定期掲載。今後、この欄で、マンション管理業界事情や管理業務のあるあるネタなどをお届けしていく予定です)